ペーパーレス化とは?メリット・デメリットと具体的な進め方を解説
「DXを進めてテレワークに対応できるようにする」
社内でこのような雰囲気の会社もあるかもしれません。そんなときに手早く効果のある方法がペーパーレス化です。
ペーパーレス化を進めることで、コスト削減や業務効率化、環境保護などのメリットがあります。しかし、ペーパーレス化には良い面ばかりではなくデメリットもあります。
本記事では、ペーパーレス化のメリット・デメリットや、ペーパーレス化を推進するためのステップ、ペーパーレス化を推進するシステムなどについて解説します。
ペーパーレス化とは?
ペーパーレス化とは、紙媒体を電子化してデータとして活用・保存することを指します。
ビジネスにおいては、紙で運用されていた文書・書類・資料などを電子化して活用し、業務効率化やコスト削減を図ることをペーパーレス化と呼びます。
例えば、紙の書類を保管するためには、オフィスに書庫を用意したり、書類をファイリングしたり、紙の劣化を防ぐための保管環境を整備したりする必要があります。しかし、ペーパーレス化によって紙の書類を電子データ化すれば、これらのコストや手間を削減することができます。
ペーパーレス化の必要性
次にペーパーレス化がなぜ必要とされているかについて解説します。
ビジネスにおける必要性
業務の効率化やコスト削減だけでなく、セキュリティの強化や紙で保管していた場所を削減できるなどの利点があります。
例えば、紙の書類を保管するためには、オフィスに書庫を用意したり、書類をファイリングしたり、紙の劣化を防ぐための保管環境を整備したりする必要があります。しかし、ペーパーレス化によって紙の書類を電子データ化すれば、これらのコストや手間を削減することができます。
仕事の効率化が進めば、競争力も上がります。
法対応による必要性
電子帳簿保存法の改正により、電子データで受領した帳票類は電子データのまま保存することが原則となりました。
一定の経過措置は認められているものの、電子データで受領した帳票類を印刷して保存していた企業は、電子データとして保存する仕組みの整備が必要です。
また、2023年10月に施行されたインボイス制度により、今まで以上に経理関係の事務処理の負担が大きくなったことも要因になっています。
環境保全の観点での必要性
紙の生産には、原料となる森林を伐採する必要があります。紙の大量生産によって、二酸化炭素を酸素に変える森林が減少しているほか、紙の生産・廃棄の過程で二酸化酸素が排出されることから地球温暖化への影響も懸念されています。
政府が推進するペーパーレス化
ペーパーレス化は2004年のe-文書法をきっかけに進んでいます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ペーパーレス化ができる書類は?
次に、具体的にペーパーレス化が可能な書類を解説します。
ビジネス文書
社内文書や取引先とのやり取りで使用される書類、契約書や請求書などの帳票類などが挙げられます。
会議資料
会議資料を紙で印刷して配布する代わりに、電子化して共有することで、紙の使用量を削減できるだけでなく、会議の準備や議事録の作成などの業務効率化にもつながります。
カタログやパンフレット
カタログやパンフレットを紙で配布する代わりに、電子化してウェブサイトやメールで配信することで、紙の使用量を大幅に削減できるだけでなく、配布コストや保管コストを削減することもできます。
チラシ、請求書などの郵便物
チラシや請求書を紙で送付する代わりに、電子化してメールで送付することで、紙の使用量を大幅に削減できるだけでなく、郵送コストや印刷コストを削減することもできます。
ペーパーレス化の現状
「『ペーパーレス化に伴う2023年度予算』に関する意識調査」によると、2022年の1年間にペーパーレス化を推進したと回答した企業は50%以上に上ります。
稟議書や申請書といった社内手続きをペーパーレス化するワークフローシステムの導入が多くを占めていました。
企業のペーパーレス化が遅れてしまう背景
企業のペーパーレス化が遅れる理由を解説します。
システムやツールの初期コスト
ペーパーレス化の推進のために導入するシステムやツールには導入費用だけでなく、従業員が使いこなせるようになるまでの教育コストもあります。長期的にはコスト削減になることがわかっていても、一時的にコストが増えることがペーパーレス化に踏み切れない理由になっています。
社内の人材のITリテラシーの差
ITツールに慣れている従業員は抵抗なく新しいシステムを使えるようになるかもしれません。しかし、不慣れな人材にとっては、紙のほうが良いと感じるでしょう。そのITリテラシーの差を埋めるために、研修などの必要が出てきます。
システム障害への懸念
システム障害が発生するとデータが失われてしまったり、閲覧・利用できない状態になることでトラブルにつながったりするのではないかという懸念によって、ペーパーレス化に二の足を踏むケースもあります。
紙での提出が社内規定になっている
紙文書での業務が残る理由のひとつに、紙で提出・保管・配布する規定があることが挙げられます。しかし現在、法律的な観点では「書面化が必要」と定められている不動産に関する書面を除けば、あらゆる書類は電子化が許されています。そのため、大抵の帳票については法律上電子化をおこなうことができると言えます。
習慣となっているオペレーションを変更するストレス
長年の紙業務でのオペレーションに慣れていた場合、デジタル化した文書での新しい業務に抵抗を感じる人も多くいます。業務において決定権を持つ役職者の方がペーパーレス化に消極的で、ペーパーレス化が進まないということもあるかもしれません。
ペーパーレス化のメリット
次にペーパーレス化のメリットを解説します。
コスト削減
紙代、印刷代、紙の書類を保管するためのファイルやクリップの費用など紙媒体を使用するためにはさまざまなコストをペーパーレス化で削減することができます。。
文書作成・共有の効率化
紙の場合、文書作成時に誤字脱字や記入漏れなどのミスがあれば、最初から作り直しが必要になることがあります。しかし、ペーパーレス化することで、入力項目をチェックして一部を修正するだけでよくなります。
また、社内での資料の共有の面でも、紙でわざわざ印刷せずに文書ファイルを共有すれば、パソコンやスマホなどの端末ですぐに閲覧できるようになります。
ワークフローによる承認作業の効率化
物理的な紙の書類では書類が回ってくるまで承認ができず、承認者が出社しないことで稟議が止まってしまうこともあります。デジタルデータであれば、いつでもどこでも書類を確認できるため、迅速な意思決定が実現します。
文書管理・保管の効率化
デジタルデータは書類や資料の共有がしやすいので、部署内や社内の連携が強化されます。伝達ミスや資料が共有されていないことに起因する齟齬などが防止され、生産性の向上につながるでしょう。
テレワーク・リモートワークへの対応
ペーパーレス化が進むことで、紙の書類を確認・押印するための出社が不要になります。そのため、「出社」や「対面」をしなくても業務ができる体制が整えられます。
環境保護・SDGs対応による企業イメージの向上
ペーパーレス化を進めることで、企業は次のような評価が得られるでしょう。
- 紙資源を大切にする企業
- テレワークを促進する企業
企業は利益を得ることの他に、「CSR(企業の社会的責任)」を果たすことも求められています。ペーパーレス化の実現によって、SDGsへの取り組みをアピールできます。
内部統制・セキュリティの強化
ペーパーレス化を実施して文書や資料を文書管理システムやクラウドシステムに格納すると、アクセスした時間や従業員名などのログ管理、閲覧に関する権限設定が可能となります。またタイムスタンプが付与できるシステムを導入すれば、文書が改ざんされていないことが証明できます。
BCP対策
ペーパーレス化は、BCP対策にも有効です。BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)の略で、自然災害や事故などの非常事態に備えて、事業を継続するための計画のことです。
紙の書類が大量に発生すると、災害で書類が破損・紛失した場合に復旧に時間がかかります。しかし、ペーパーレス化を進めることで、地震や火災などが起こっても復旧しやすくなります。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化には、次のようなデメリットがあります。
導入コストがかかる
ペーパーレス化を進めるには、文書のデジタル化や文書管理システムの導入など、さまざまなコストがかかります。
システム障害の影響を受ける可能性がある
クラウド上に資料を保存する際、ネット環境やクラウドサーバーに障害が生じると資料にアクセスできなくなるリスクがあります。
紙の操作性・視認性に劣る場合がある
紙の文書であれば、文書にそのまま記入や押印をすれば良いので、操作性は紙媒体の方に利点が多くあります。また、複数ページある文書を閲覧する場合も、紙媒体はパラパラとページをめくるだけで全体感を把握できるため、文書内に記載された情報への視認性が高いです。
ツールを使いこなすのにITリテラシーが求められる
ペーパーレス化を進めるには、電子化ツールを使いこなす必要があります。そのため、社員にITリテラシーが求められます。
ペーパーレス化推進のためステップ
ペーパーレス化を推進するにあたって、押さえておきたいポイントは4つあります。
ペーパーレス化の必要性を社内に浸透させる
新しいことを始める際に必ず超える必要があるのは、現場に理解してもらうハードルです。紙で運用していた期間が長いほど、慣れたやり方を大きく変えるのは難しいもので、まずはペーパーレス化の必要性について従業員に根気よく説明し、理解を深めることが重要です。
何にどれだけ紙を使っているかをチェックする
ペーパーレス化の検討を始めた時点で、何にどれだけ紙を使っているかを明らかにしておくことが大切です。あまり意識していないものの、実はかなりの量の紙が使われているといったケースが見つかるかもしれません。
何にどれだけ紙を使っているかを洗い出せば、紙の使用量が特に多い文書のペーパーレス化にフォーカスでき、高いコスト削減効果が見込めます。
目的に合わせたシステム・ツールの導入を検討する
ペーパーレス化したい文書の種類や用途が見えてきたら、それらに必要な機能が備わったシステム・ツールを選定しましょう。
ペーパーレスの取り組みを段階的に始める
ペーパーレス化は、一気に進めようとすると失敗する可能性があります。まずは、紙の使用量が比較的少ない文書から電子化し、徐々にペーパーレス化の範囲を広げていくのがおすすめです。
ペーパーレス化を推進するシステム
ペーパーレス化を推進するシステムについて解説します。
ワークフローシステム
ワークフローシステムは、各種申請や稟議といった社内手続きを電子化するシステムです。申請から承認までのフローがシステム上で完結するため、紙の文書に必要な押印が不要になるほか、デジタル端末上から場所を選ばず申請・承認を行うことができます。
オンライン文書管理サービス
オンライン文書管理サービスは、インターネット上に文書データなどを保管し、複数名で共有できるサービスです。PCやタブレットなど、複数の端末からデータにアクセスできるため、電子化した文書の保管や管理に適しています。
クラウド勤怠管理システム
クラウド勤怠管理システムは、従業員が出退勤した際の打刻や、勤務時間の集計などをオンラインで完結できるシステムです。タイムカードなどのコスト削減だけでなく、計算ミスなどのヒューマンエラーを防ぐ役割もあります。
オンライン請求書管理サービス
オンライン請求書管理サービスは、システム上で作成した請求書をPDFファイルとして出力し、請求先へメール送付することや、オンラインで請求書を受領し、その後の支払い等の処理を進めることが出来るサービスです。
電子契約システム
電子契約システムは、電子証明書や電子サインを用いて、契約書をオンラインでやりとりするためのシステムです。契約書の送付・受領から契約締結までオンラインで完結するため、従来のような紙の契約書が不要となります。
郵便物の完全ペーパーレス化を実現するScanPod
ScanPodは、社内で送受信する郵便物をPDF化して、自動仕分け&管理ができるシステムです。
自社で郵便物を受領してから最短1分でPDF化されたファイルを共有可能です。500通の郵便物も最短8時間で処理でき、市販のスマホアプリ等でスキャンすれば、リモートワークにも対応できます。
PDF化されたファイルはScanPodが自動で判別・仕分けして、担当者へ送信します。また、郵便物はメールの添付ファイル(PDF)で送られてくるため、すぐに内容を確認できます。
ペーパーレス化の失敗例
ペーパーレス化すればすべてがうまくいくということはなく、失敗してしまうこともあります。失敗するときの原因について解説します。
メリットや効果の周知がなく、意欲が低い
ペーパーレス化のメリットや効果を周知せずに、ペーパーレス化を進めてしまうと、「なんでこんなことしなくてはいけないのか・・・」と感じさせてしまい、意欲が低くなってしまいます。
ルールを決めずにとにかくペーパーレス化してしまう
ルールを決めずにとにかくペーパーレス化を進めてしまうと、かえって業務効率が低下する可能性があります。ペーパーレス化を進めるには、作業フローの構築やフォルダの構造、ファイル名などの運用ルールを制定する必要があります。
デジタル化しても使いこなせない
デジタル化した資料や文書を使いこなせないと、ペーパーレス化が進まない可能性があります。デジタル化した資料や文書は、紙の資料や文書とは使い方が異なるため、社員が使いこなせるように教育する必要があります。
迷ったら利用頻度の低い書類からペーパーレス化しよう
ペーパーレス化は、コスト削減や業務効率化、環境保護などのメリットがあります。しかし、導入コストがかかったり、システム障害への懸念があったり、紙の操作性・視認性に劣るといったデメリットもあります。
ペーパーレス化を成功させるためには、ペーパーレス化の必要性を社内に浸透させ、何にどれだけ紙を使っているかをチェックし、目的に合わせたシステム・ツールを導入して、ペーパーレスの取り組みを段階的に始めることが重要です。
迷ったら利用頻度の低い書類から段階的にペーパーレス化を進めていきましょう。利用頻度の低い書類であれは、すぐに目に見えた効果とならないかも知れませんが、普段使用している従業員にとっては便利、不便といった結果が得られるでしょう。
また、ScanPodを活用して郵便物をペーパーレス化することで、業務の効率化が行えます。ぜひScanPodを活用して、ペーパーレス化を成功させてください。