総務はテレワークできる?導入に向けて検討すべきこと
「総務部門におけるテレワークの課題解消法」
テレワークが進む中、なかなか実現が難しいと感じる総務担当者も多いのではないでしょうか?総務部門のテレワーク導入が困難な理由やその解決策に焦点を当て、業務の円滑な進行を図る方法についてご紹介します。
具体的には、
- テレワークが進まない背景にある理由
- 総務部門でもテレワークが実現可能な準備方法
- テレワーク導入によるメリットや企業の課題解消
の順番でお伝えしていきます。
総務部はテレワークができないと言われる理由
総務部門において、テレワークの導入が難しいとされる理由には様々な要因が絡んでいます。どのような理由でテレワークが難しいとされているかを解説します。
契約書などへの押印
契約書や請求書などを紙で管理している場合、押印の作業が必要になります。最近はオフィスで業務を行っている企業でも電子契約を採用していることが増えてきましたが、紙で管理している企業も少なくありません。
書類の管理
決算書などの税務関係の書類や個人情報、機密情報を扱う書類などを紙で保管していることから、テレワークに踏み切れていないことがあります。最近では電子帳簿保存法の影響から、ペーパーレス化を進める企業が増えておりますが、ペーパーレスシステムを使う上でのセキュリティも求められるようになってきています。
郵便物の対応
総務部門は、会社宛に寄せられる郵便物や荷物の管理・発送に関わります。これらの業務は、テレワークを導入しても継続して発生するため、定期的に出社せざるを得ない理由になっています。
電話対応
総務部門は会社の代表電話への応対が重要な業務です。電話を取るためにテレワークに踏み切れていない企業もあるかもしれません。テレワークによって、顧客を待たせてしまう事態になり、機会損失につながってしまう可能性があります。
来客対応
会社に訪れた来客の対応も総務部門の仕事の一環です。相手もテレワークしている場合はオンラインの対応に理解があるかもしれませんが、来客に対応できないと、顧客や取引先との円滑なコミュニケーションが取れなくなる可能性があります。
総務部でテレワークを実現するためにやるべきこと
総務部の働き方のルール制定
自宅での効果的なテレワークを実現するためには、まず社内の手続きを電子化する必要があります。総務部門の確認手続きや電話業務、郵便物への対応などをシステムを使って解決していきます。例えば、申請書や入退社手続き、契約書保存、電話対応などをオンラインに移行します。自宅からインターネットさえあれば業務ができる環境を整えます。
また、在宅勤務時の働き方のルールの制定も必要です。自宅で一人で作業をすることが苦手な人もいるため、適切なメンタルヘルス対策があるとよいでしょう。その他にも勤怠管理の方法やPCやWebツールを使う際の手順の研修、出社が必要なときのルールなどを事前に決定しておきます。テレワークをしてから「これも決めなくてはいけない」ということは出てくるものですが、あらかじめ予想できる範囲で決めておくことが大切です。
DXツールの選定
次にテレワークを実現するためのツールを選定します。例えば、郵便物への対応はクラウド郵便サービス、電話対応はオンライン電話システム、契約書等の書類は電子契約システムを利用するなどが挙げられます。
クラウド郵便についてはこちら
クラウド郵便とは?テレワーク時代に生産性に差がつく郵便物への対処
セキュリティ対策
テレワークを実現するためにはシステムの導入が避けられません。自宅からアクセスできるようにするためにVPN(Virtual Private Network:仮想専用線)などを利用して、不特定多数からのアクセスは許可せず、社員からのみアクセスを許可するようセキュリティを確保する必要があります。
VPN自体にも脆弱性の可能性はあるため、どこまでのセキュリティを求めるかは有識者などに相談して決めるとよいでしょう。
また、システム上のセキュリティはしっかりしていても、人による情報漏洩の可能性があります。例えば、画面をロックせずに離席して重要な情報を盗み見られる、パソコンを電車やタクシーの中に置き忘れるなどがあります。これらへの対策として、セキュリティ講習を行うとよいでしょう。
人事評価の基準づくり
テレワークでは、対面で仕事への取り組みを見ることができなくなるため、適切に人事評価することが難しくなることがあります。そのため、テレワークでも評価できる仕組みを作る必要があります。
例えば、テレワークを前提にした評価制度の見直しがあります。勤務態度を評価する際に、チャットツールやビデオ会議での態度を見るのか、見るならばどのような部分を見るのかを明文化していきます。
他にも、目標管理制度の導入が挙げられます。組織の目標と並行して、従業員が立てた目標を設定する方法です。目標の設定から評価までを上司と部下が相談して決めていきます。
総務部でテレワークを導入するメリット
次に総務部門がテレワークを導入するメリットを解説します。
生産性や業務効率の向上
テレワークの導入により、従業員は自宅や適した場所で業務に取り組むことができます。通勤時間の削減や静かな環境での作業により、作業効率が向上し、業務に集中できる環境が整います。これにより、無駄な会議や雑談の削減により、業務時間を重点業務に集中できるでしょう。
優秀な人材の離職防止
テレワークの導入は、従業員のワークライフバランスの向上に寄与します。通勤時間の削減により、従業員はより柔軟な働き方を実現でき、仕事と生活の両立が図れます。従業員は、育児や介護、プライベートなど多様なライフスタイルに対応しやすくなり、優秀な人材が離職するリスクが低減します。
最近は出社回帰していることから、テレワークができなくなることを理由に転職する人が増えてきています。
ビジネスの継続性の確保
テレワーク導入によって、不測の事態が起きても業務を継続することができます。自然災害や緊急事態が発生した際にも、従業員はリモートで業務を継続できるため、業務の中断を最小限に抑えることができます。BCP対策やリスクマネジメントの一環として、総務部においてもテレワークが有効です。
従業員の健康と安全確保
テレワークは従業員の健康と安全を確保する手段となります。特に公共交通機関の利用を避けることで、感染症のリスクを軽減できます。従業員が自宅で業務を遂行することで、職場の感染対策になり、従業員全体の健康維持に繋がります。
総務部でテレワークを導入するデメリット
メリットがある一方でデメリットもあります。
セキュリティリスクがある
総務部でテレワークを進める際の主なデメリットの一つは、セキュリティ面での懸念です。テレワークでは、従業員が社内データや重要な資料、端末を外部に持ち出せてしまう可能性があります。
総務の業務には契約書や重要文書の取り扱いが多いため、情報漏洩のリスクが高まります。持ち出せないようなシステムにすることで対策になります。また、外部からの不正アクセスやハッキングへの対策が求められます。
部署間での連携がとりにくくなる
もう一つのデメリットは、部署間での連携が難しくなることです。総務部は通常、各部門との円滑なコミュニケーションを担当しており、テレワーク導入により直接対話の頻度が減少する可能性があります。
郵便物や電話、重要な連絡事項などの対応がオフィス内でスムーズに行えなくなるかもしれません。この課題に対処するためには、ビジネスチャットやリモートミーティングなどのツールを活用し、遠隔での円滑なコミュニケーションを確保する必要があります。
テレワークの導入と並行して総部部門のDX化を推進することが重要
総務部門のテレワークは出社が必要な業務のために進まない現状がありますが、適切なシステムやツールの導入によって解決することができます。セキュリティリスクや部署間の連携の難しさなどをクリアすることで、企業全体の生産性向上や働きやすい環境の整備が期待できます。
すぐにテレワークを実施できるようにならなくても、総務部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することは重要です。従業員が柔軟で効果的に働ける環境づくりは、企業の競争力向上にも影響します。
まずは総務部門のDX化から着手してみてはいかがでしょうか?