テレワークにおけるマネジメントの必要性とは?実情やマネジメント施策を解説

オフィスへの回帰が進む中、テレワークのメリットを感じた企業は出社とテレワークのハイブリッドで勤務するようになってきました。

しかし、新たな働き方の中でのマネジメントの難しさを感じています。オフィスでの勤務とは異なる課題が山積みで、特に部下を持つ立場の人たちには、これまで以上の工夫と努力が求められています。

テレワーク環境下でのコミュニケーションの取り方、人事評価の方法、業務や労務の管理など、多岐にわたる課題に対して、どのように対応していけばよいのか。

本記事では、テレワークにおけるマネジメントの必要性と、具体的な施策について解説します。テレワークの生産性を高め、チーム全体がより良いパフォーマンスを発揮できるようにするためのポイントを紹介していきます。

テレワークの生産性の実情

株式会社パーソル総合研究所の「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、従業員の約7割はテレワークを続けたいと思っている事がわかっています。

【調査結果】テレワーク継続希望意向
引用:「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

特に20代から30代での希望率が高く、20代女性の希望率は79.3%でした。従業員満足度の向上のために取り入れ、社内制度を整えても良いかもしれません。

一方で、在宅勤務によって生産性が落ちたという調査もあります。Adobeのグローバル調査「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査」によると、日本人の約4割は生産性が落ちたと回答しています。ただし、約2割は生産性が上がったという回答もあります。

生産性が下がったと回答している日本人にどんな理由で生産性が下がったかという質問では勤務環境が整っていない(68%)、集中しづらい(46%)、同僚からの協力が得られにくい(33%)という回答が得られました。

ニューノーマルな働き方の実現のためには、これらの要因に企業側が対処する必要があるかもしれません。

テレワークに適したマネジメントの必要性

野村総合研究所の「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」によると、2022年12月時点での日本のテレワーク対象者率は25.5%に達しています。特に東京や神奈川などの大都市部では、テレワーク対象者率が40%以上と非常に高い数値を示しており、この傾向は今後も続くと予想されます。また、東京都の調査では、テレワーク実施率が50%程度を維持しており、テレワークを中心とした働き方が根付きつつあることが明らかになっています。

テレワーク実施率
引用2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望

テレワークの普及に伴い、マネジメントのあり方も変化を迫られています。ハイブリッドワークを推進する企業が増える一方で、完全な出社制に戻す動きも見られます。しかし、完全出社にすることで従業員の転職意欲が増えたという調査もあります。

そのため、テレワークの選択肢を提供することで、社員のモチベーション向上や離職率の低下に繋がることが期待されます。特に、自宅からでも業務に支障のないエンジニアやプログラマーなどの職種では、テレワークを完全に許容する企業が増えています。

日本が直面する人口減少の問題を考えると、優秀な人材を確保し、離職を防ぐためにも、テレワークを選択肢として提供する企業は増えるでしょう。そのため、テレワーク環境においても、効果的なマネジメントを実行できる人材の需要は高まっています。

テレワークでのマネジメントの課題

メッセージボード

テレワーク環境下でのマネジメントには、特有の課題が存在します。これらの課題を適切に理解し、対策を講じることは、組織の生産性と従業員の満足度を高める上で非常に重要です。

評価が納得されにくい

テレワーク環境では、日々の業務の進行状況や成果が直接目に見えにくく、その結果、従業員の評価に対する納得感が得にくい状況が生まれがちです。管理者は、従業員の業務遂行能力や貢献度を正確に把握しにくく、この不透明感が不信感やモチベーションの低下を招く可能性があります。

社内のコミュニケーションが希薄になる

物理的な距離が生まれることで、チーム内のコミュニケーションが希薄になりがちです。特に、非言語的なコミュニケーションが減少することで、チームの一体感が損なわれ、相互理解や信頼の構築が難しくなります。

メリハリを付けて働けない

自宅での勤務では、仕事と私生活の境界線が曖昧になりがちで、適切なワークライフバランスを維持することが困難になることがあります。そのため、過労やストレスの蓄積につながり、長期的なパフォーマンスの低下や健康問題を引き起こす原因となります。

メンタルケアが難しい

テレワーク環境では、従業員のメンタルヘルスの変化を把握しにくく、適切なサポートや介入を行うことが難しいです。孤立感や不安感が高まることで、個人のウェルビーイングに悪影響を及ぼす可能性があります。

環境が整っておらず仕事がしづらい

自宅の作業環境が十分に整っていない場合、生産性が低下することがあります。適切な機材の不足やインターネット接続の問題は、作業の効率を大きく損ねる要因になり得ます。

タスク管理や進捗状況の把握が難しい

テレワークでは、従業員のタスク進行状況や成果物の質をリアルタイムで把握し、適切にフィードバックを提供することが困難です。これにより、プロジェクトの進捗が遅れたり、品質が低下したりするリスクがあります。

テレワークにおけるマネジメントの方法

ノートPCを囲んで打合せ
次に具体的にテレワーク下でのマネジメント方法について解説します。

評価基準や目標を明確にする

テレワーク環境では、従業員との直接的なコミュニケーションが限られるため、具体的な評価基準や目標の設定が非常に重要になります。これは、従業員が自分の業務のなかで、何を目指すべきか、どのように評価されるのかを明確に理解するためです。

目標の明確化は、不明瞭な評価を避け、モチベーションの維持にも繋がります。定期的なミーティングを通じてこれらの目標や評価基準を共有し、必要に応じて調整していくことが推奨されます。

業務の振り分けを適切に行う

適切な業務のアサインメントは、テレワーク環境下での生産性を維持・向上させる上で欠かせません。従業員のスキルや経験、業務の優先順位を考慮し、適切に業務を振り分けることが重要です。

個々の従業員が担当する業務量が過多にならないよう、また、各人の能力を最大限に活かせるよう、スキルや業務ごとの重要度に配慮することが求められます。

業務の仕組み化

業務の効率化と透明性の向上のためには、業務プロセスの仕組み化が効果的です。具体的には、定例の報告会議の設定、業務進捗の可視化ツールの利用、標準化された業務プロセスの確立などが挙げられます。

テレワークでのコミュニケーションの障壁を低減し、業務の進捗や問題点を把握できる体制を整えることができます。また、定期的なフィードバックの機会を設けることで、従業員との相互理解を深め、業務の質の維持・向上を図ることができます。

システム管理者が考えるべきテレワークの生産性を向上させる施策

システム設計図

テレワーク環境下でのマネジメントは、従来のオフィスワークと異なり、同僚や上司、部下が同じ空間にいないことを前提にした配慮や工夫が必要です。

特に、マネージャーの業務効率化は、チーム全体の生産性向上に直結するため、重要な課題です。以下に、テレワークの生産性を向上させるための施策を具体的に解説します。

コミュニケーションを取る機会を業務に取り入れる

テレワークでは、コミュニケーションの機会が自然に減少するため、意識的にこれを組み込む必要があります。例えば、Slackというコミュニケーションツールを利用している場合、業務とは関係ない話題を投稿するきっかけを作ることができます。Slack上で動くColla(コラ)というアプリを使えば、Botがユーザーにインタビューを行って、その内容が共有チャットに投稿されます。また、キャンディを送る機能で称賛の反応を取ることもできます。

雑談ができる時間を確保する

オフィスに縛られないコミュニケーションもチームの結束にとって重要です。例えば、サントリーの「社長のおごり自販機」は社員証を2つかざすと、2人分の飲料がタダになる取り組みです。この取り組みではアンケートに回答した97.8%が「本自販機がコミュニケーションのきっかけになった」と回答しています。

タスク管理に適したツールを導入する

タスク管理ツールの導入は、テレワークにおける生産性の鍵です。Backlog、Trello、Jiraなどのツールを活用することで、誰がどのタスクを担当しているのか、その進捗状況はどうかといった情報をリアルタイムで把握することが可能になります。

文書の電子化(ペーパーレス化)を推進する

テレワークの普及に伴い、ペーパーレス化は避けて通れない課題です。文書や契約書の電子化を進めることで、どこからでもアクセス可能とし、業務の効率化を図りましょう。

また、これらの文書を管理するクラウドサービスを活用することで、セキュリティの確保と共に、アクセスの容易さを実現します。ペーパーレス化を進める中で郵便物についても何らかの方法で電子化を進める必要があります。そこで役立つのがクラウド郵便というサービスです。

クラウド郵便について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

テレワークにおけるマネジメントは、オフィス勤務時と比較して異なるアプローチが求められますが、適切な施策を実施することで多くの課題を乗り越えることが可能です。本記事で紹介したマネジメントの方法やシステム管理者が考えるべき生産性向上施策を積極的に取り入れることで、テレワーク環境下でも部下やチームのモチベーションを維持し、生産性を高めることができるでしょう。

評価基準や目標の明確化、適切な業務振り分け、コミュニケーションの活性化など、一つ一つの施策がテレワーク下でのマネジメントに役立ちます。テレワークがもたらす新たな働き方の中で、効果的なマネジメントを通じて、チーム全体での成果と満足度の向上を目指しましょう。

テレワーク・ペーパーレス関連記事

その他の関連コラムはこちら

menu